なげのおもむろ日記

自分の考えを整理したり発展させるのに使ってます

【読書メモ】演劇入門(平田オリザ著 第二章〜第三章)

第二章では、戯曲を書く前の場所・背景・問題の設定方法の解説がなされている。

場所
セミパブリックな空間。内部の人々がいて、そこに外部の人が出入り自由であること。

背景
セミパブリックな時間。外部の人間が出入り自由な背景、状況。

問題を考える
シナリオと戯曲の違い
戯曲では、観客の想像力に委ねる。

「作品冒頭における自然な形での問題提起」の必要

一個人が個人の力ではどうにもならない状況と向かい合う構造はギリシャ悲劇以来の基本的な枠組み
直面する問題の中で右往左往し、人間として変化を遂げていくのが演劇というドラマの本質。

第三章は、対話を生むための登場人物・プロット・エピソード・台詞の説明。

登場人物
内部・中間・外部の比率は5対2対3
情報量の差→バラエティ
情報量に差があることで情報交換のための対話が生まれる。本人には説明させない。

プロット
話の筋のこと。著者の書き方では、人の出入りと、その人物によってもたらされる情報の内容だけ。

エピソード
でき上がったプロットに合わせた、その場面での話題。
重要な点①伝えたい内容から離れた会話②かといって全体のモチーフや状況から離れすぎない会話
モチーフから遠い順番にエピソードを並べていく

台詞の前にテーマを考える
テーマを見つけるために書き始める

戯曲を書くための能力
想像力・記憶力・観察力

話し言葉の地図
演説→対話→独り言
公的←→私的
意識的←→無意識
名作にはさまざまなタイプの話し言葉がある

対話:他人と交わす新たな情報交換や交流
会話:知り合っている者同士の楽しいお喋り

冗長率:伝えたい情報と(一見)無縁な内容≒潤滑油
対話の方が冗長率は高い

他者の不在
日本の同質性→「対話」が未発達
夏目漱石三四郎」→対話を描いた新時代の文学作品
西洋近代演劇と日本語との距離を明確化する
司馬遼太郎菜の花の沖
戯曲の言葉→社会の話し言葉の規範
上方の商人は浄瑠璃、武士は狂言

【感想】
対話と会話の分析が参考になった。
日本辺境論(内田樹)に通じる、辺境であることによる価値の逆転が面白い。そういう気概は大事だ。