8/19のSONICMANIAと、最終日21日SUMMER SONIC 。さらに、それに先駆けて8/17にSUMMER SONIC EXTRAと銘打って敢行されたScreamadelica再現単独公演。
わずか5日間のうちに4公演をこなすハードワークをこなす還暦ロックンローラー、ボビー・ギレスピー率いるPrimal Screamの来日公演を、名古屋を除き3公演も楽しませていただきました!
待望の来日
前回の来日が2016年のChaosmosisツアーで、実に6年ぶり。アルバムリリース後はだいたい来日してくれるものの、Give Outリイシューのリリース時にはそれをサポートする来日ツアーはなく、彼らとしては長いインターバルでした。
当初はSONICMANIAおよび東京会場のみの出演だったために、東京行きもちらついたものの、大阪には単独で来てくれるはず、と信じてたら本当に来てくれました!
さらに、直前に『ボビー・ギレスピー自伝 Tenement Kid』もリリースされ、絶好のタイミングでの来日。直前になんとか読み切り、準備万端で臨みました。
大阪公演
シモーヌ姐さんの勇姿を見たくて、ステージに向かって右側の2列目に。
メンバーは、前回ツアーと同じく5人編成。唯一異なるのは、キーボーディストがダフィーではなく、ワイルドなイケメンだったこと。サウンドも見た目通りワイルドで、これがまたカッコいい。ダフィーの軽やかなプレイも聴きたいが、次回にお預けか。
ボビーはスクリーマデリカのジャケット絵がババーン!とフィーチャーされたスーツ姿で登場。今回のツアーはこれで通してるようですが、毎日のように着てるということは何着も持ってる?
事前に写真を見たときはさすがにちょっと…と思っていたが、実物見るとなんかかっこよく見えてくる不思議。
↓参考:今年のグラストンベリー出演時↓
10年前のScreamadelicaツアーは、女性コーラスやリードシンガーを帯同していたが、今回はなし。その分ソリッドなバンドサウンドで、バックスクリーンへの映像投影もなく、サウンドだけで勝負するスタンスなのが頼もしい。
シモーヌ姐さんは時折オーディエンスにスマイルを振りまく余裕ぶりで、約10年前のMore Lightツアーで見せた初々しい雰囲気とはまた違った魅力が。プレイ面もさることながら、ステージの華やかさにとても貢献しています。個人的にはボビーよりシモーヌ姐さん見てる方が多かったかも。
前回のScreamadelicaツアーと比較しての今回のツアーのウリは、楽曲Screamadelicaのセットリスト編入と、前回来日公演ではオミットされたShine Like StarsのWeatherall Mixの採用。特にShine Like Starsは本編最後に配され、かなりの格上げ。アレンジとしてはアルバム収録バージョンが好きですが、ウェザオールへのトリビュートとしてはこっちが正解。
前回の再現ツアーからの10年の間に、ウェザオールだけでなく、ロバート"スロブ"ヤング、デニス・ジョンソンと関係者が相次いで鬼籍に。彼らは前回ツアーにも参加していなかったものの、バンドにとって大切な存在であったのは間違いなく、そんな彼ら全員に対してのトリビュートだと感じられた。
全体的なプレイ面でも、最近のイネスのギタープレイはまるでスロブが乗り移ったかのような豪放さを纏ってきたように感じるし、ボビーも前回は女性シンガーに任せていたDon't Fight Itを自分で歌い切るなど、気合いの入ったステージング。またスクリーマデリカか、という気持ちを一切感じさせない、見事な内容でした。
また、このソリッドな演奏ゆえ、スクリーマデリカ再現後のヒット曲連発も地続きのように響き、ラストのRocksまで大満足。前回のツアーでは、Come Togetherで大団円を迎えたあと、いきなりRocksが始まって気持ちの整理がつかなかったんですよね。
久しぶりのライブが大好きなロックバンドで、控えめに言って最高の夏となりました。
しかし、まだ夏は終わらないのです。
SONIC MANIA & SUMMER SONIC @WOWOW
その週末はちょうど家族が不在で、たっぷり家でサマソニを楽しむチャンスでした。
金曜夜はもちろん、Sonicmaniaに出演するPrimal Screamを鑑賞。
メンバーの表情がよく見られる配信も、現地に行くのとはまた違った良さがあります。
アップになるとボビー年取ったな、と改めて実感。
さすがに大きいステージなので、バックスクリーンのサイケな映像が登場。
Slip Insideの映像などは10年前と同じだが、Higher Than The Sunの日が昇る映像など一部アップデートされており、新鮮さも感じさせた。
感動的だったのはShine Like Starsのウェザオールの写真。いくつか写真を投影した後、腕の間からまっすぐなまなざしを向けるウェザオールの写真が大写しになり本編が終了。Screamadelicaにおける彼の存在の大きさと、バンドの彼に対する感謝があふれているように感じられた。
アンコールはLoadedから始まり、大阪公演からいくつかの楽曲を省略してRocksで終了。大満足で眠りにつきました。
明けて土日はゆっくりサマソニを堪能しつつ、やっぱり最後はPrimal Scream。
事前にタイムテーブルの変更がアナウンスされ、Primal Screamの演奏時間が1時間30分から2時間近くに変更に。キャンセルとなったアーティストの穴埋めをするわけでもなく、さらにタイムテーブルのCloseと書かれた22時のバーにちょっと乗っかるほどのロングセット化に、日本への愛を感じます。
演奏はほぼ先の2公演と同じですが、最後にボビーが何度もお辞儀をして去っていったのが印象的でした。こちらこそありがとう、ボビー!
これだけScreamadelicaを堪能したら、次は通常セットを見たくなる贅沢。新作も期待しています!
Deep Dive
来日公演が終わった後は、こちらのPodcastを聞いてました。
翻訳者の萩原麻里氏をはじめ、この界隈の文化に詳しい方が集っての雑談、これがとても面白い!当時のスコットランドやサッチャー政権の話や、ボビーのファンに対する姿勢へのツッコミ、ハッカーの話など知的好奇心が刺激されまくり。
インタビューの時にボビーが毎回レコメンドしてくるという『スペクタクルの社会』にとても興味が沸く。なんでもパンクの精神的支柱なんだとか。知らなかった…。先日注文済みで、届くのが楽しみ。
他にも、こんなイベントも(申込済)。
出演者のひとり、ニイマリコ氏の『ボビー・ギレスピー自伝』レビューもとてもよかった。私は『XTRMNTR』からなのでこの方よりちょっと遅いデビューなんですが、初めて彼らの音楽を聴いた時の衝撃はほんとにここに書いてある通りでした。
http://にいまりこave-cornerprinting.com/niimariko-08072022/
復習用音源
今回のアルバムは新たに発売されたリイシュー盤からのトラックを踏襲したアレンジが中心。オリジナル盤とは異なるディープな世界観が楽しめます。これらの楽曲がダンスフロアを揺らしてた頃を想像しつつ聞くのもまた一興。
その名の通りデモ音源。オリジナル盤を聞き込んだ人は、ここからアレンジを磨いていったのか、と感慨にふけることができます。
こちらはシングル集。Shine Like StarsのWeatherall Mix以外は既発。Spotifyで聞いてますが、いつかはアナログで聞きたい。
今回のセットリストをトレースしたプレイリスト。
個人的ベスト。